西戸崎のフラットハウス

#身近プロジェクト #ヴィンテージ/レトロ #リノベーション

今回はセレクトルーム番外編。
8月の終わりの週に、西戸崎のフラットハウスに家族で宿泊しました。
前から気になっていた、元米軍ハウスをリノベした民泊の施設。
サンシャインプールの帰り。ベリーショートな家族旅行です。

1950年代に完成した元米軍ハウス。
切妻屋根のシンプルな平屋。
16帖くらいのLDKと2ベッドルームの2LDK。

1972年まで「キャンプハカタ」と呼ばれる米軍基地のあった西戸崎エリア。
アメ車や大型バイクが走り、商店の看板は英語表記……かつてここには小さなアメリカがありました。
以前、近くのマンションを紹介したことがあり、周辺のことはここにも書いています。
→→ AMERICAN CAMPing HOUSE 

約10帖のリビング。奥に見えるのがダイニング。面積としてはけして広くは無いけど、天井高があって開放的。

室内はリノベーションというよりリメイク、この住宅が完成した頃の状態を復元するかのように改修されていました。何が既存で何が交換されたものなのか分からない……コンセプトやつくり手の思いがひしひしと伝わってくるクオリティ。置かれている家具類もほとんどが古いモノ&一部レプリカで、古いアメリカ映画のワンシーンのよう。

リビングに直結する玄関ドア。靴を脱ぎ履きする土間スペースが設けられていない土足文化の仕様。今は玄関外で靴を脱ぎ、室内で保管するスタイル。

古いながら隅々まで管理されていて居心地の良い空間。オーナーの愛を感じます。素敵なヴィンテージマンションに通じる空気感。

約6帖のダイニングキッチン。
ガスコンロや冷蔵庫などはもちろん、ケトルなどの小さなモノまでレトロデザインで統一された徹底ぶり。

食器や調理器具等が一通り揃っているので、普通にここで料理して食べられます。
炊飯器とコーヒーミルもあるということだったので、我が家は米とコーヒー豆を持参しました。
朝食は海苔むすびの後に、前の晩、近所のスーパーで購入した葡萄と持ち込んだコーヒー。いつものコーヒーが格別にうまかった。

僕は旅行の際、地域の古いスーパーに行くことを楽しみの一つにしています。売っているモノ(特に食品)に地域性が出るし、匂いや雰囲気がそれぞれあって、そこでの生活の一部を感じることができて楽しいからです。
ちなみに、われわれが行った近所のスーパーはよしだフードセンターさん。フルーツも良かったのだけど、魚売り場の刺し身がすごかった。漁港が近いからか、鯛やヒラメなどの地魚が充実していて新鮮、そして安い。ただでさえ手頃な価格なのに19時頃行ったら半額になっていてびっくり。握り寿司も同じような感じだったので、その日のディナーは刺し身&寿司の海鮮セットとなりました。

バスとトイレ、洗面台は一つのスペースにまとめられていました。
この在来のバスタブまわりはオリジナルと思って間違いないでしょう。ゆうに畳1帖以上あるサイズ。
水漏れの心配があるということで、今はシャワー利用のみ。

写真では分かりづらいですが、シャワーヘッドのフックが随分高い位置に。アメリカ人の体格にあわせたつくりであることがわかります。

8帖くらいのベッドルーム。

ちなみにもう一つベッドルームがあって、2組泊まれるのだけど(水まわりやLDKはシェア)、ここのところずっと一組利用が続いているらしく、僕たちも貸切状態でした。

海へと続く道。

海好きにとってはたまらない、心躍る風景。
この場所まで徒歩1分もかからないロケーション。

博多湾に面する天然のビーチ。正面に見えるのは能古島の北側。
ちょっと早起きして試しにルアー(ワーム)を投げてみたところ、バレてしまったけど1回だけぐぐっとあたりがありました。波打ち際にチヌがいたので、きっとそのお仲間だったのだと思います。1時間頑張ったけど、結局釣果ナシ。

帰ってネットで調べたら、夜、浮きの流し釣りでやはりチヌが釣れるとのこと。
連泊して、日がな一日、この徒歩1分圏内で遊びたい……古いモノや住宅、海、そして釣りが好きな方には、たまらなく豊かな時間を過ごせるフラットハウスだと思います。本を読むにも素晴らしい環境だし。

エアビーで予約できます
→→ FLAT HOUSE villa

おまけ1:心くすぐられるパーツたち
何がオリジナルで何が交換されたモノか分かりますか?


おまけ2:志賀島資料館と金印公園

初観覧。フラットハウスの帰りに寄ってきました。
スーパーと同じく、ローカルな博物館、好物です。

志賀島資料館:観覧無料

福岡市博物館の常設展では福岡の歴史に関する展示を俯瞰して観覧できますが、ここは志賀島周辺にしぼった内容。その分、内容が濃くて面白い。なんと言っても、志賀島はあの金印が発掘された歴史あるエリアなのですから。

休暇村のとなりにあって、古代から近代までの志賀島に関する資料や民具などが展示されています。

志賀島には縄文時代から人が住んでいたらしく、弥生時代には「海神族」という進取の気性に富み航海術に長けた人たちが活躍。当時は危険極まりない大陸との海運や交渉を手がけ、日本文化に大きく貢献したと考えられているようです。金印が発見された場所としてはもちろん知っていましたが、古代において重要な役割を担う拠点だったとは、初めて知りました。

上の石碑の少し手前くらいで金印が発見されたのだそう。
展望台から大きな入り江のような博多湾や島々を眺めると、海神族(なんとカッコいい名前…)が活躍していた古代の風景が想像され、わくわくしました。

あと、資料館で知った千数百年の歴史を持つという志賀海神社にも寄ろうとしましたが、暑さに負けて今回は断念。またの楽しみとしてとっておくことに。

遠くに旅行に行かなくても、福岡には身近に楽しめるスポットがたくさんあるはず。でも、灯台下暗し……身近すぎて見落としていることも。
あらためて身近を見直し、楽しんでいきたいと思います。

2022.09.21