デザイナーインタビュー「博多区吉塚の新築:CREA FIRST」

現在、博多区吉塚5丁目で建築中の賃貸マンション「CREA FIRST」。
今回は、こちらの設計管理を手がけるBAS建築設計事務所の代表 牛島昌弥さんにコンセプトやデザインについてお話を伺いました。


> 設計に取りかかる際、どのようなことを考えましたか?

施主から「創業の地に、他にはないマンションを」という要望があったので、その想いに応えたいと思いました。

現地を訪れてみると車の交通量の多い大通り沿いであるということが分かりました。そこで、1階を駐車場に、2階をオフィス、3階から上を住宅にすることに。そうすることにより、住居部分はバスなどからの視線の影響を受けづらくなります。

建物全体のデザインとしては、横にバルコニーが連続するありきたりなものではなく、縦方向にリブが伸びるスッキリとしたボリュームを強調することにしました。縦方向に凹凸を設けることは、横方向に動く車内からの目線を切る機能があると同時に生活感を排除することにもつながります。また、このことが建築に陰影や奥行きを与えるでしょう。さらに、凸部分が白やグレー色なのに対して凹にあたる壁面は黒い塗装をすることで、彫の深さを演出しました。これは歌舞伎に見られる「隅取」と同じ手法ですね。

> 縦のラインを強調。確かに、他では見られないマンションですね

はい、日本のマンションではそうだと思います。でも、ベースにあるのはタイムレスなデザインであるアールデコの様式です。ここだけではなく他の建築でもそうですが、私たちは最新を追いません。長持ちのする、陳腐化しないデザインを求めます。モダンとクラシカルを組み合わせるなど、普遍的なデザインを導き出したいと常に考えています。大切にしているのはバランスとボリュームの捉え方です。特にデザインと機能のバランスを大切にしています。

> 他に、外部デザインで気を付けたところはありますか?

周辺が背の低い建物ばかりなので、全方位からどう見えるか、ということに注意しました。「人に裏表があっても建築に裏表無し」・・・これが私の持論です(笑)。それから、質感。外壁はタイルではなく吹き付け塗装で仕上げます。人の手が感じられる塗装仕上げは良いですね。個人的には張り物やフェイク的なものが好みではありません。私共は建築をボリュームの構成で設計します。塗装仕上げはボリュームをより明確に表現できる素材です。また、吹き付け塗装はタイル張りに比べて初期のコストを押えられるというメリットも。ちなみに、平成20年に法が改正されて、今では工事から10年以上たったタイル張りの建物は全面を打診調査する義務があります。塗装だったらその必要が無いというのも良いところ。タイルに比べて汚れやすいという声もありますが、私たちの建築はディテールを工夫し、塗装でも汚れにくい建物としています。
あと、外部では、商業施に携わったキャリアを活かして、植栽やサイン、照明計画にも力を入れました。

> 建物内部についてはいかがでしょうか?

室内では、床や建具類の配色を4パターン設けて、カラーバリエーションを豊富にしました。ダーク、ミディアム、ライト、ソリッドといったプランを用意しています。性別や年代、好みを問わず多くの人たちに受け入れてもらえればと思います。
共用部では通路を中廊下にすることでホテルのような雰囲気のある空間を演出。中廊下だと住宅への出入りが外部から見えないのでプライバシー性の向上にもつながります。また、エントランス周りには計7台の防犯カメラを配置し、通常のマンションに比べてセキュリティーを強化。さらに、大切な自転車を上階まで持って上がれるよう、広めのエレベーターを選択。安心して暮らしていただけるように配慮しました。

以上の他、スタッフの研修旅行で行ったニューヨークの話題や、雁ノ巣で進行中のプロジェクトのことなど、脱線しつつも様々なお話を伺うことが出来ました。ただ、話しが盛り上がり取材が長時間になってしまったため、肝心の室内設計についてまでは詳しくお聞き出来なかった..
という訳で、近日中に、先行して工事の進む3階部分を見学させていただく予定。後日、レポートいたします。お楽しみに!

2017年12月 BAS建築設計事務所にて


BAS建築設計事務所/一級建築士事務所
代表者:牛島 昌弥
所在地:福岡市中央区春吉1-11-36 STビル8F
TEL:092-724-0355 FAX:092-724-0366
HP: bas-arc.com/


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