デザイナーインタビュー「引き出すリノベーション」

薬院1丁目のつるやビル。
5階部分がリノベーションされました。

今回は、こちらをプランニングしたストックデザインラボの北嵜剛司さんにお話を伺いました。
北嵜さんは、「不動産をもっともっとクリエイティブに」を合言葉に、不動産ストックを魅力的な場に蘇らせるべく、日々活動する再生のデザイナーです。

北嵜さんの事務所にお邪魔しました。

> プランニングする際、まずどのようなことを考えましたか?

角地に建っていてシンボリックな建物。良く通る場所なので、もともとこのマンションのことは知っていました。1階にシロネさんも入っているし。

薬院の角地に建つ「つるやビル」

古いながら丁寧にメンテナンスされていて、清潔感のあるビル。少し整えるだけで、もっと良くなると思いました。実際に部屋を拝見すると、思いのほか眺望が抜けていて…ここで暮らしたり働いたりしたら気持ちが良いだろうな~というのが第一印象。

街なかだけど、緑のある景色。

プランとしては、住宅だけでなく事務所のニーズもあるエリアなので、どちらでもいけるように2DKの間取りを自由度の高いワンルームにしようと考えました。そうなると、畳は撤去して、すっきりとした板張りのイメージが…ほっこりした和室も好きだけど、洗練された薬院1丁目のまちの感じからしてもその方が良いだろうと。
あと、駐輪場がないということで、広めの土間をつくることに。

> 北嵜さんのリノベには土間のあることが多いような気がします

そうですね。SOHOに対応した物件が多いですね。

自転車やテーブル等を置ける土間。

土間空間は出入りがしやすく、内外をつなぐニュートラルな中間領域になります。特に打ち合わせなどでお客さんのある事務所使いにおすすめです。

> それから、既存を活かしたデザインのイメージも

はい。僕は加えるでなく、引き出すデザインを心掛けています。物件の持つ素材感を大切にして、活かせる既存はなるべく残すことに。賃貸の場合、コストパフォーマンスも重要になりますし。

既存の木部等が活かされたデザイン。

> 既存を活かす上で気を付けていることはありますか?

その空間独自の風合いや素材感を大切にすること。最初からデザインを確定せずに、工事の流れの中で塩梅を見ながら、残すor撤去を決めています。だから、出来上がったデザインに他と同じものは一つもない。自然とオリジナルの空間になっていく(笑)。

> そしてどこが変わったのかが分かりづらい(笑)。こちらの北嵜さんの事務所がまさにそんな感じですね

北嵜さんのオフィス。お話を伺った打ち合わせスペース。
入り口付近。

馴染んでいると言ってください(笑)。

今年、こちら(久保田ビル)を3部屋リノベーションさせていただいたのですが、この部屋はそのうちの一室です。計画しているうちに気に入ってしまい、僕が借りちゃいました。

> こちらのビルも面白い動きになっていますね。今後何かお考えですか?

今いるこの打ち合わせスペースを開かれた場所にしたいと考えています。展示会等のできるオルタナティブスペースとして、外部の皆さんにも利用してもらえるように準備中です。もともとオーナーが楽しい感覚をお持ちの方で、屋上を開放したり、飲食や事務所、住宅、アトリエ利用など、こちらのビルはオルタナティブに使われています。今の仕事がおちついたら、来年の春頃にはビルの皆さんと一緒に、何かイベントをやりたいですね。

楽しい雰囲気の共用部分。
試験的に屋上を開放。

他にも、東区にある元社員寮の利活用の話や、北九州のエリアブランディングのことなど、色々とお聞きすることができました。
リノベーションだけでなく、コミュニティーデザインやエリアブランディングなど、北嵜さんの活動は多岐にわたります。そんな北嵜さんの活動に、今後も注目していきたいと思います。

つるやビル502号の募集記事は→ こちら
その他、ストックデザインラボが手がけたリノベーションの事例は下のリンク先でご覧いただけます

・ 久保田ビル
・ 木梨コーポ
・ プロスペレー姪の浜

ストックデザインラボ
代表 北嵜剛司
福岡市中央区春吉3-23-27 久保田ビル403
TEL:092-791-6231 FAX:050-3730-1628
HP:stockdesignlab.com
※現在、ホームページをプチリニューアル中です!