2013.08.01

住まいのパーツ案内 vol.1

暮らし ショップ紹介

気になるタイルがあるんだけど、どこに行けば買えるんですか?…など、最近、リノベを検討されている皆さまから住宅のパーツに関するお問い合わせを良く受けます。そこで、住まいを構成するモノや素材の特集を当カテゴリー「暮らし」で始めたいと思います。

ドアノブ、スイッチ、照明、床材、壁紙などリノベに役立つパーツのみならず、生活空間の一部となって暮らしを支えたり豊かにしてくれる家具、雑貨、アートたちも紹介していければと考えています。基本は私たちのまわり、福岡で出会えるモノを中心にセレクト。不定期でマイペースな更新になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

さて、第1回目となる今回は、薬院1丁目で欧州モダンアンティークを中心に家具・雑貨・照明の販売を行っている「eel(イール)」さんをご紹介します。福岡の中でもこの周辺は個性的なショップが集まっているエリア。弊社の近所ということもあって馴染みのあるショップですが、改めて見てみると住まいのパーツの宝庫であることが分かります。

店内は、船便で送られてくるコンテナをそのままひっくり返した様なにぎやかさ(笑)。床や壁や天井に至るまでアンティーク家具や雑貨や照明で埋め尽くされています。その中で、まず目に飛び込んでくるのが天井にぶら下げられたいろんなバリエーションの照明の数々。

存在感のある白磁のランプソケット、蝋燭の形をしたランプが可愛いシャンデリア、バウハウス直系のLBL社のエナメルペンダントランプなどなど、これらの照明を見ていると、いま我々が使用している照明のルーツが50年代から60年代のデザインにあることがわかります。その中でも気になった照明の一つがこれです。

真鍮の電球ソケット。簡素なのに味わい深い印象は、長い間カタチを変えることなく生産され、使われてきたからでしょう。こちらは新品ながら価格はリーズナブル。コードの色や長さ、引掛けシーリングの色は好みに合わせて選ぶことができるところもうれしいですね。ソケットに電球の組み合わせもあっさりしていて素敵ですが、お好みで味のあるランプシェードを取り付けてもいい感じです。


そして、もう一つ印象に残ったのが、フランス製のアームランプです。遡ること60数年前、一人の整備士によって生み出されました。販売当初は工業やオフィス用として使用され、80年代にはその機能性とシンプルなデザインが評判を呼び、現在も生産を続けている照明です。ここでご紹介するのは、工業用として使用されていた時代のもので、黒の染色の無骨な仕上げに時代の空気を感じることが出来ます。マニアの間では、新品よりもこの時代のものを好まれる方が多いようです。

JieLDe(ジェルデ)社のタグ。アームはベーシックなタイプが2本の仕様です。それから2本まで追加可能(写真はアームを最大の4本にした仕様)。ブラケットタイプもあります。

一通り照明を見た後に、壁に目を向けると、見られないロゴの入った時計を発見。



三角のロゴが印象的で、たずねてみると、フランスの国有鉄道SNCFで使われていたパラゴトロン社の時計とのこと。スクエアなカタチと文字盤の丸の表示と三角のロゴが絶妙なバランス。必要な機能だけを箱の中に収めたミニマルなデザインは、長い年月を経た現代においても古さを感じることはないですね。

そうは言いつつも、その時代を象徴すようなデザインもあります。技術の進化は住宅で使用されるパーツのデザインにも影響を与えました。

レバータイプのスイッチは今では見なくなりました。この時代のスイッチって、シンプルなんですがどこか愛嬌がありますね。ドアノブは右からスチール製、木製、真鍮製です。扉の素材や使用箇所に合わせてセレクトすると楽しそうですね。どこか手仕事の跡が残るずっしりした質感がいいですね。ハンガーラックはアンティークで使用感はありますが、デザインがシンプルなのでそのまま使ってもよいし、セルフでリペアしても面白いかもしれませんね。

2階は主に家具が展示してあります。1階と同様に興味深いアイテムがところせましと展示されています。



右がクエーカーチェアーで、左がゴールドスミスチェアーです。どちらも「ERCOL(アーコール)」のなかで人気が高いチェアです。近年、マーガレットハウエルによって復刻されるなど注目を浴びていていて、50~60年代のクオリティーとクラフツマンシップを今に伝えています。

そして、最後に、本来の目的以外の使用をして住空間を豊かにするアイテムを紹介します。

イギリスで使用されていたバスのサインをパネル化したもの。もともとは、路線の停留所名が長い紙に書かれてあって、回転して表示するバスの路線サインですが、それを適当なところでカットしてパネル化したものです。フォントのデザインやタイポグラフィが路線名の羅列とは思えないアート作品になっています。

今回ご紹介した以外にも、店内には欧州の50~60年代のいろんなジャンルのアンティークの品揃えがしてあって、有名無名を問わないセレクトがいろんな発見を誘発しているように感じました。欧州の有名メーカーのビンテージや名も無きプロダクトの数々を改めてみてみると、50~60年代はプロダクトデザインにとって幸せな時代であったことがわかります。そして、今よりもデザインが生活の営みの適材適所に存在していたんだなと感じることができました。

eel [イール]
福岡市中央区薬院1-7-12セルクル薬院1F/2F
http://www.witch-valley.com/
email info2@witch-valley.com
11:00-19:00 定休日/水曜日と月に数日(ご来店の際には営業日をご確認ください)

TEXT:井上